大会長挨拶
この度、第33回(公社)日本口腔インプラント学会東北北海道支部総会・学術大会を弘前市で開催するにあたり一言ご挨拶申し上げます。支部学術大会が弘前市で開催されますのは、2005年9月、第25回支部学術大会を第35回社団法人日本口腔インプラント学会総会・学術大会と併催してから8年ぶりになります。この8年間、本学会の発展は目覚ましいものがあり、第35回大会は、2005年8月に社団法人設立後最初の学術大会でしたが、当時の会員数は約3,000名で、学術大会の参加者数はおよそ1,000名弱でした。しかし、2013年3月末現在の正会員数は約13,000名と実に4倍以上も増加し、東北・北海道支部の正会員数もおよそ1,200名に達しています。このことは、高齢化社会を迎えてインプラント治療の社会的ニーズが高まっている状況に応えるべく、真剣に新しい診療技能を修得しようとする歯科医師の向上心を反映していることに他なりません。
しかしながら、大変残念なことに、昨今の各種報道を契機として、インプラント治療に対する誤った社会的評価が見受けられるようになりました。そこで、本大会のテーマは「安心・安全な口腔インプラント治療のためのリスクマネージメント」としました。特別講演は、幅広い社会活動でご高名な精神科医、香山リカ先生(立教大学現代心理学部教授)より「患者と医療人の心のギャップを探る(仮題)」と題しご講演を頂きます。インプラント治療は、歯の喪失に対する治療法として確立された医療ですが、患者さんの治療後の期待が大きいだけに精神的な問題については見落としがちになり、種々のトラブルの背景因子として改めて注目すべき課題と思われます。また、「口腔インプラント治療のリスクを確実にマネージメントする」をテーマにシンポジウムを企画しました。本シンポジウムでは、①検査・診断と治療計画、②外科治療、③補綴治療、④歯周治療、のそれぞれの観点からインプラント治療におけるリスクマネージメントについて討議したいと存じます。その他、専門医教育講座として、矢島安朝先生(東京歯科大学)による「インプラント治療における全身管理について」が予定されており、更に、専門歯科衛生士教育講座として岸本裕充先生(兵庫医科大学)、専門歯科技工士教育講座として廣瀬由紀人先生(北海道医療大学)にご講演を頂くことになっております。この他に、一般演題、ランチョンセミナー、企業セミナー、企業展示などが予定されていますが、本大会が参加者の学術的知識と診療技能の向上につながり、ひいてはインプラント治療に対する国民の不安と不信が解消される一助になることを期待しております。
本大会は、弘前大学大学院医学研究科歯科口腔外科学講座と(公社)日本口腔インプラント学会指定研修施設である青森インプラント研究会との共催で行いますが、企画・運営は青森インプラント研究会の多大なるご支援の下に実施致します。11月初旬の弘前は紅葉の真っ盛りであり、周辺には十和田湖、世界遺産白神山地を始めとする景勝地や温泉も数多く、美味しい海産物も味わえる絶好の季節です。東北・北海道支部に止まらず全国から本学会々員ならびに口腔インプラント関連医療従事者の方々のご参加を心よりお待ち申し上げております。